沖縄本島
2001
土地の記憶を残す家
那覇市の繁華街に建つ三世帯の為のこの住宅は、先祖から受け継いだ大切な土地に代々 住むことを望んだ施主によって建てられた。敷地が交通量の多い道路に面しているため、計画当初から車の騒音対策が課題となっていた。道路面に壁と屋外階段からなる遮音の為の層を設け、居室を道路から離した。4階建てのボリュームある建物であるが、木質の外壁ルーバーによって、建物が街路樹の風景の中に溶け込み、無機質なビルが建ち並ぶ街並みに潤いを与えている。夜にはポリカーボネイトを通して内部の光が柔らかく街に溶け込む。
1階は駐車場として利用、2階は中庭を挟んで、息子さん娘さん世帯それぞれの居住区とし、 お互いの家族がこの中庭でコミュニケーションが図れるようにしている。また以前は木が生い茂る土地だったことから、中庭に竹を植えて緑を再現。3階親世帯の中央に吹抜けを設けて、その緑を楽しむことも出来、光と風を取り入れ、空間に広がりをもたせることに繋がった。将来の介護に備えて2階と3階を内部階段で結び、廊下幅も考慮した。4階は親世帯の書斎と、緑化と断熱の点から芝貼りの屋上とした。中庭を広くつくりたいという我々の提案を受け入れてもらった一方で、施主からの要望は玄関の位置を変えないといい「土地の記憶」として扱うことであった。昔からの場所にこだわる施主の気持ちをくんで、残されることとなった。