K-PROJECT
建物は県内中部に位置する北谷町の高台に建てられた。スタッフ20人規模のデザイン事務所のオフィスである。建築部分は、1階に駐車場/エントランスホール、2階、3階に3つに分かれたスタジオ/ミーティングルーム/応接室があり、さらに4階には、若手スタッフのための宿泊スペースを5部屋確保している。
建築計画のコンセプト
間口10m奥行きが35mの狭長な敷地である。建物は、ほぼ同じ形態でコンクリートの2つのボックスが3分割され、そこにガラスの皮膜で覆われたガラスの箱が一部宙に浮いた状態でコンクリートボックスに突き刺さっている。中央部にはテラスとプールがあり自然を室内に引き込み、空に解き放たれた空間として、しばしの安らぎを与える憩いの「場」となっている。
エネルギーとエコ
第1の課題は、ガラスを多用しているため冷房の光熱費削減とエコ的な観点から、太陽熱(4.6キロの太陽光)を利用する方法がとられている。
ちなみに1か月の更年期が2割の削減となった。
第2に、「光触媒」を使用したこと。煙草のにおいが消え、トイレのタイルなどが自然に殺菌され、汚れないという夢のような技術である。これは、最近はマスコミ等で紹介され認知度を得てきている日本発の世界に誇れる技術である。今回は、外壁コンクリート部分やガラス面汚れ防止、フリーメンテナンス及び室内の水回り等に使用した。今後光触媒を建築にどう生かしていけるか可能性を探り追及していきたい。
第3に、EM(有用微生物群)をコンクリート等全ての素材、工程に活用し、また地下に設けられた雨水タンク、プールの水の浄化にも取り入れている。
EMの技術については、もともと農園や化学肥料の代替技術として開発されたがが、EMの強い悪臭抑制機能が明らかになり、畜産や生ゴミのリサイクルへと応用されるようになった。更に、EM使用後の水質や土壌が著しくクリーンになることから、生活雑排水や下水、汚染された河川や湖沼の浄化にも幅広く使用されるようになった。
そのような観点から、建築にも生かせる技術ではないかと考え、シンナーやエチレン等の化学物質から放出される悪臭の軽減、たま鉄筋コンクリート造の中性化をEMの抗酸化力で向上させ、鉄筋等の金属が酸化し難い状況を維持し構造物の寿命を延ばすことなどが期待される。