沖縄本島
2005
インナーテラスの家
ふたつのインナーテラスをもつこの住宅は、元ミュージシャン夫婦と二人の娘さんの為の住宅である。敷地は、宜野湾市の普天間飛行場に程近い住宅群の中に位置している。
エントリーは幅1.6m、長さ20mに及ぶ、四方コンクリートに囲まれた回廊である。
その回廊によって、住宅内へと導かれ、一階の核にはアウトサイドリビングを配した。両サイドにはふたつのインナーテラスがあり、各々異なる役目を担っている。西側のテラスは1.5m×2.5m 水深 200mmの小さな池を設けた海のテラス。東側のテラスは庭と一体感を図る為に大きなガラスの開口を設けた大地のテラスがある。二階は吹抜けを挟み、夫婦の寝室と姉妹のベッドルーム、北側にサニタリースペースを配してある。
「外に閉じて、内に開く」ということを基本コンセプトに、「アウトサイドリビング」と「インナーテラス」を取り入れたプラン構成とした。建築的操作によって、内/外の境界が曖昧となり、 内部空間に外部の自然を引き込むことに成功し、そのことによって快適な住環境を獲得、実現した住宅である。
表面的な装飾、余分なものをすべて削ぎ落とし、住まうことに最低限必要なものだけで構成され、排除し単純化したシンメトリーなプラン構成。しかし光と影、かすかに聞こえてくる水の音、時間と季節、天候などが微妙なハーモニーとなって住む人の心の深いところに訴える空間ができたであろうと考えている。