沖縄本島
2005
自然と調和する家
クライアントは子供たちの成長に合わせて二度の増築、改築を重ねてきた。時間と共にふたりの子供たちは成人し、それぞれの家庭をつくりはじめた。今回は、夫婦だけの住居として、築25年の鉄筋コンクリート造を解体し、建替えするプロジェクトである。
内、外観は共にコンクリート打ち放しの粗な表現とし、道路側からは住宅内がうかがい知れないようなプラン構成とした。敷地は、140坪ほどと広く、L字型の平面は、サニタリースペースとキッチンを核としてふたつのゾーンに分割されている。西側のゾーンは夫婦の寝室と、ゲストのためのベットルーム、東側のゾーンはダイニング、リビングなどのパブリックスペースを配し、決して圧迫感、威圧感を与えないようなデザインに努めた。
リビングからデッキ越しに望める庭は、荒れ果てていた以前の庭から八重山クロキ、山モモ、南天、ソテツを剪定、植え替えをし、できるだけ残すようにした。今でも夏には蛍がどこからともなくやってきて、秋には鈴虫やマツ虫などがやさしい鳴き声を聞かせてくれる。
現在は、文明が人間と自然の間を引き離してしまっている。木々や虫たちがいる庭や光・風月などの自然の営み。この場所で共に歩んできた25年間のように、これからも夫婦が自然と調和し安閑静の日々を送り続けて欲しいものである。