Private Resort Hotel RENN
沖縄先島諸島郡のひとつ、宮古島。
敷地は海岸沿いから少し離れた一角、地元の方言で “ 囲まれた湧き水”を意味するインギャーという地域にある。北東に向かって緩やかに下る斜面からは、海と空の境界線、素晴らしい水平線が望める恵まれた場所に一部分盛り上がった場所があり、そこを起点として空中に浮遊する3部屋の客室を設定。
ペンションの基準階にフロント、レストラン、厨房を配 した。
客室はそれぞれ7本のスチール柱によって支えられ、浮遊するように適度に距離間を確保しながら、各客室からは水平線を独占できるつくりとなっている。
建物はペンション棟、住宅棟の2ブロックに分けパーゴラでつなぎ、来客者は住宅前のパーゴラを通りペンションへとアプローチする。 住宅棟はプライバシーを確保するため、ペンション棟 と別棟で造られているが、1階にご両親のスペース2階にクライアント夫妻のスペースを配し、ファサード側 の窓は横長の形状を採用して余分なものは目に入らない、水平線のみを望めるピクチャーウインドウとなっている。
住宅前のパーゴラは、ペンションへのエントリーを示唆する花園のプロムナード。来客者はこのプロムナードから、浮遊する客室下部方々に延びる柱を望 みつつフロントへと導かれ、そして光輝く海を独占する 部屋が迎え入れてくれる。 今回の計画は、終の棲家としてこの島で第二の人生を歩んでゆくという親子を幸せにするデザインが求められた。集客も考え、話題性を呼びマスコミ等にも取り上げられるような宿泊施設でなければならない。
その結 果、敷地のランドスケープを最大限引き出すことにもとづき、豊かな眺望を生かすシンボル的な建築、客室を下から生えるスチールの樹木により支えられるコンク リートのマッスそして、大胆な構造が選択された。 微妙に傾斜する柱によって支えられる客室は、この建 物のもっとも居心地のいい場所になっている。また、最も形象的でどこから近づいてきてもすぐ識別できるラ ンドマーク的な存在でもある。周囲の木々や遠くに見渡す海と連続的な対話が生まれ、より良い旅のひとときを、この小さなペンションで感じてくれることを期待している。
2010年 グッドデザイン賞 |
2009年 建築九州賞 入選 |