離島
2008
宮古島の住宅
沖縄本島から南西へ326km離れた東シナ海に浮かぶ先島諸島群。クライアントであるご主人はその島々のひとつである宮古島本島の出身である。しばらくは島を離れ生活をすることもあったが、最終的には実家裏の敷地に新居を造ることとなった。
中心地である宮古島市平良の家々が密集する住宅地に200坪強程の敷地でL字型の平屋が建てられた。内、外壁はコンクリート打ち放しの粗な表現とし、建物は北側の前面道路に沿って建ち、それを対にして南側に広々とした庭がレイアウトされた。
各居室LDK/和室/子供室/主寝室からは中庭に面して大きく開き、逆に道路側へは閉じるプラン構成となっている。住宅内へは前面道路から直接アプローチし、エントランスコート通って玄関へ辿りつく。
扉を開きホールに立つと、広い濡れ縁を介して中庭の緑の芝生が目の前に広がる。その玄関ホールを核に西側にLDK/和室などのパブリックスベースを配し、東側にはホール横にサニタリースペース、L字に折れ、450mm床レベルを下げた部分に子供室/主寝室のプライベートルームが配されている。
L字型に配された空間は、正方形の敷地に呼応するように北側、東側の境界から900mmの距離をおき設置され、その結果として南側に広々とした中庭が約束された。建物は道路側からは5m樹立したコンクリートよって完全に遮断され、周囲の風景とは異質なように感じられる。しかし三方向へは開き、また建物の内部と外部を曖昧にした関係は、ここでの住宅の新たなあり方の提案になるものと考えている。