離島
2009
石積みの丘のセカンドハウス
クライアント一家、宮古島市内に住む両親、東京に住む娘、息子、そして3人の孫。 両親は子供達の為に、都会の中で単調な生活から開放される場所、そして家族みんなが集えるこのセカンドハウスを計画した。
建物は、宮古島空港から東に車で30分程に位置する保良区にあります。 周辺一体は、農地開発されたサトウキビ畑があり、その中央付近に隆起した琉球石灰岩で造られた城壁のような丘の上に500坪にも及ぶ広い敷地に建っている。
元々、宮古島の地層は隆起珊瑚礁を母岩とした琉球石灰岩からなりその為、島全体のほとんどが平坦な場所である。今回の敷地はアクセスする道路面から、6m余も高く、4方の眼下には保良区の家々、海岸線が一望できる眺めの良い場所に位置している。
この敷地に東側に広い中庭を配し、全ての居室から広いデッキを介し開き、西側にはキッチン、サニタリースペースなどが設けられている。夏秋季の台風シーズンには、本島内よりも毎年のように強い台風が数多く襲来することも踏まえ、沖縄の街並みに一般的にみられる鉄筋コンクリート造の平屋である。コンクリート打ち放し杉板型枠仕上げ壁、白塗装仕上げの壁、天井、木材、そしてガラスによって構成されている。
外観は杉板型枠仕上げの庇が低く深く、水平ラインを強調し、建物全体のプロポーションを決定づけている。
スラブを浮遊させ、スカイライトから見える雲の流れ、夜の星空、月の満ち欠けは建物によって切り取られ、室内に居ながら体感できる贅沢な自然の景色がそこに生まる。開放的で、光や風、音、匂い、温度といった五感に対して訴えかける、穏やかで安らぎを与えてくれる場所(住宅)が提案できたと考えている。