沖縄本島
2010
「LINES 〜house in toyosaki〜」
敷地は観光振興地域「エアウェイリゾート豊見城」の指定を受け臨空型の海洋レクリエーションとショッピングゾーン等を兼ねそろえた多機能型、観光・リゾート拠点及び住宅地として整備が進んでいる豊見城市の「豊崎タウン」に位置する。
そこで今回の依頼は、ご夫婦と4人の子供たちの住宅の計画であった。
計画にあたり、この地域は「地区計画」により様々な規制があり、まずそれをクリアしていく必要があった。なかでも大きな規制は「勾配屋根を屋根面積の3分の1以上設けなければならない」というものであった。
本来、沖縄らしい風景をつくっていくという目的でつくられたと思う「地区計画」だが、今やあらゆるデザインの建物が建ち並び、勾配屋根に関する規制も、もはや本来の目的を達せられていなかった。沖縄らしさと言えば「ちゃんぷるー(沖縄の方言でごちゃまぜ)」的な街が形成されていた。
そのような規制を守りながら、この街(ちゃんぷるー)の新たなスパイスになるような建物になればと思い、プランニングに取りかかった。
そこで生まれたのがコの字プランで内勾配屋根のかたちであった。
どこにいても家族みんなの気配が感じられ、その中心は常に明るい太陽で照らされている。また、デザインを極力省きシンプルにしていくことにより、結果、様々な角度のLINE(線)が強調されるデザインとなった。
様々なデザインや色彩があふれる沖縄の街の中において、不変的な物を大事にしていくことで新たな沖縄らしさが生まれていく。それが理想の街づくりかもしれない。
そんな希望を込めてこの家をつくった。
家じゅうに家族の楽しい声が聞こえ、何年経っても飽きが来なく、住み継がれる家。
そんな住宅となったと考えている。