北谷の家〜みっつのひんぷんのある家〜
建物がある北谷町は土地の約54%が米軍基地に占められる。敷地はその町内
の中でも古くから住宅が建ち並ぶ、閑静な住宅地にあります。
クライアントは、30代の夫婦と子供3人。幸いにも新居の土地探しを始めた頃、奥様の実家に隣接する敷地を購入することができ、設計がスタートした。
建物のレイアウトは100坪強の敷地に、鉄筋コンクリート造平屋をL字型の白いボックスと一部杉型枠張りの仕上げ、白の壁と杉板模様の粗さのコントラストを強調させた、外壁の仕上げである。
東側の前面道路に接する部分に3台の駐車スペースを配し、杉板模様のヒンプン1)の背後にリビング側に広がる中庭が配された。
玄関へは、駐車場横の杉板模様のもうひとつのヒンプン2)の左側から右に折れ、木製の門扉を開けガラススリットの回廊をアプローチして玄関へと辿り着く。
扉を開き住宅内へと進入すると、突き当たりに今度はガラスをはめ込んだ黒塗り仕上げのタモ材のルーバー格子のヒンプン3)によって室内が緩衝される。それを基点に南側にダイニング/リビング/和室/奥様のダンスレッスン室、そして北側に水周り/家事室、東側に主寝室、子供室等を配してある。
住宅の核である、リビング/ダイニングは他の居室より天井が高くとられ、明るく開放的にし、風通しをよくするために風の入り口と出口の開口部が考慮されている。リビングは、開口部を全開すると中庭との一体感のある空間となり、深く低く抑えられた庇が心地いい陰影を作り出している。
「光と風の心地よさと家族の時間を大切できる住宅」を第一にスタートした今回の計画は、広い敷地の形状を生かしたL字の平屋と各居室に通風と光が確保されるように意図したプランとなり、クライアントの希望通りの開放的な住宅が実現したと考えている。