平良マリーナサイドの家
自然豊かな宮古島に建つ別荘である。敷地は宮古島市内の隣家がまばらな平坦な場所に位置している。クライアントの彼は、数年前から島の魅力に惹かれ都会の喧騒から逃れるように時々この島を訪れていた。そして島に行き来する中で知り会えた“海人”の友人から土地を紹介され、今回別荘を建設することとなった。
建物は内、外観共にコンクリート打ち放し白塗装、一部杉板横張模様仕上げの粗な表現とし、道路側からは建物内がうかがい知れないように、南側に中庭が配されたプラン構成となっている。
訪問者は北側の道路面から杉板横張模様コンクリート仕上げのヒンプンの壁面に沿って、前庭、坪庭の自然を感じながら玄関へアプローチされ建物内部へと導かれていく。L字型の平面はダイニングとキッチンを核としてふたつのゾーンに分割されている。西側のゾーンは主寝室/サニタリースペースとゲストの為のスリーベッドルーム、そして東側ゾーンにはリビング/和室等のパブリックスペースが配された。
建物は、中庭を中心として中庭を囲む形でL字に配置されている。各々の部屋からは中庭、そして中庭を介して一面に広がるサトウキビ畑、青い空に流れる雲や風の音、白い壁に映る太陽による光と陰の戯れなど、様々な姿を楽しみ、自然の気配を常に感じる事が出来る空間構成となっている。
今回のプロジェクトは、この島に魅了され、都会の喧騒から離れ、静の日々を送れる心身共に休める空間。そして全国展開する企業の重役で活躍される彼が、今後時々訪れることになるであろう家族や会社の同僚、島で出会った友人達を最大級に御持て成す事のできる、「皆さんどうぞいつでも来てお泊りください、そのための部屋も用意しておりますよ。」と自信を持って言えるような場所の提案であったと考えている。