沖縄本島
2011
大謝名地区学習等供用施設
建物がある宜野湾市は、沖縄本島中南部の東シナ海に面し、北には中城村、北東には北中城、南東には西原町、南に浦添市と面している。土地の約33%が米軍基地に占められ、敷地はその市内の中でも古くから住宅が建ち並ぶ、閑静な住宅地にあり、築50年の平屋の鉄筋コンクリート造を解体し、建替えるプロジェクトである。
敷地内には、古い公民館と共に大謝名区民をずっと見守ってきた、大きなクワディサー(モモタマナ)の木と、高さ8m強にも及ぶ松ノ木がある。その2本を残すこととし、今回の設計概念の中では不可欠の部分であったと考えている。
そのクワディサーがある中庭(交流広場)に面して開いた大きな掃き出し窓は、区民のイベント時には開放感を与え、外部との繋がりを演出する。そして、ファサード横にある松ノ木は“凛”とした表情でそこに立ち、大謝名区の歴史を物語るようである。
建物のレイアウトは300坪強の敷地に、鉄筋コンクリート造平屋をL字型に配置。白を纏った建物は、庇や壁面に鋭角なラインを強調させることで、建物に緊張感を与えている。
北側の前面道路に接する部分には5台の駐車スペースが配され、区民はメインエントランスへと導かれる。建物の背後には、クワディサーのある中庭(交流広場)が配され、そのメインエントランスロビーからは、そのまま通り抜けることができるようになっている。
エントランスロビーを核に東側には、音響装置などが完備された舞台を要した集会室。西側には事務所/サニタリースペース/倉庫などが配され、そして区民のイベント時には最も大事な役割を担う調理実習室が配置されている。