沖縄本島
2011
海を一望する白い家
沖縄本島最も南に位置する糸満市潮崎。その本島最南端の海岸線から道路をひとつ挟む場所から、太平洋が一望できる抜群のロケーションが約束された立地に建つ住宅である。
クライアント夫妻は、数年前県外からこの地(沖縄本島)に永住する事を決意し、土地を購入、そして設計がスタートし三年の歳月を経、念願のふたりだけの「終の住処」が完成した。
グレアを感じさせない程の白を基調としたシンプルな内外壁に、スカイライトから射し込む自然光やエントランスホール横の水盤の水音など人間の五感を触発する事を大切にする空間を目指した住宅である。
建物は60坪弱の敷地に建蔽45%の三階建て、延べ床60坪の住宅である。一階は玄関/階段室/ガレージ、そして庭側に面して奥様の陶芸スペースが設けられた。二階には主寝室/クローク/ゲストルーム、御主人専用の書斎、そしてサニタリースペース。三階はこの住宅の中で一番居心地のいい場所であり、リビング/ダイニング/キッチンのあるパブリックスペースが配された。リビングとテラスを繋げるスペースは、海に向かって突き出すように設けられ、そこはまるで映画のワンシーンのように巨船の船先の上に立つようである。
海岸線に建つ白を纏ったこの住宅は、海や空、島風などが時を運んでくれる。これらの自然のボキャブラリーを絶妙なバランスで室内に取り込み、光の表情よって包まれながら音楽と美酒と空間を楽しむラグジュアリーな日々を過ごす快適な空間が提案できたと考えている。