津嘉山の杜 ヒルトップカシータ
敷地はうるま市と沖縄市にまたがる、中城港湾や遠くには勝連城跡を見渡す自然豊かな高台に位置する。その抜群なロケーション、西海岸と海岸線に沿って建ち並ぶ工業建築群、家々が施設のどの場所からも望むことを最大限に活かせるよう提案した。
今回の施設はクライアントにとって、2施設目となる老人介護施設である。「介護される利用者は勿論の事、ケアする人をケアする」というコンセプトのもとプロジェクトが進行した。また施設名の「カシータ」とは、温かく小さな家という意で「愛と調和に包まれた理想のコミュニティ施設」を目指した。
敷地面積は400坪強にも及ぶ広さで、延床面積が約1500坪の4階建の建物、主要用途は有料老人ホームである。建物は施設のコアとなる中央に18m×12mの中庭(2階からは吹き抜け空間)を設けたコの字型の平面構成である。その中庭、吹き抜けに沿って配された回廊型廊下からは、日々の移ろいや雲の流れ、雨の情景など、利用者は散歩をしたり腰掛けユンタクをしたりしながら、間近に自然を体感できる場所となっている。
建物中央付近にフロア全体に目配りができるようスタッフ用のスペース、パブリックスペースを配し、強い陽射しを受ける西側には水廻り等を配した。そして様々な景色が望める南東、北側には利用者の居室が設けられた。また各階にデッキ、緑地スペースを設け、外部でも利用者の交流の場を図り、吹き抜けを介して上下階が繋がるよう促した。
敷地は元々温泉が出る場所ということもあり、その特色を活かし1階には温泉プールを設け、利用者の機能訓練の場となっている。また中庭横には長さ9mの足湯を設け、利用者やスタッフ、そして家族の人達の交流の場所と利用され、更に4階の特別室では絶景を最大に享受できる家族湯が設けられた。
今回の施設は、単に福祉施設ということだけでなく、恵まれた立地、敷地環境を充分に活かし、利用者やその家族、スタッフ、そして地域の人達が憩い、集える場所となってくれることを願って計画をした。