沖縄本島
2013
我如古の家 〜曖昧さがもたらす豊かな空間〜
敷地は沖縄県中部、宜野湾市の住宅街にありアクセスする全面道路から平坦な地盤が続き、3~4m先からは急勾配に下っていく、高低差の激しい土地であった。
その道路側から敷地に向かい南側に開く、ロケーションは豊かである。しかしいずれ住宅群が建ち並ぶ事も想定される為、景色に頼った二次元の平面上で居室構成を考えるのではなく、内に開き中庭を孕んだ、三次元の多様な空間構成で立体的(断面的)に考える方法が今回の課題であると考えた。
住宅内へアクセスする1階部分は駐車場と玄関、水盤のあるエントランスホール(全てレベル差の無い土間空間)が配された。その土間空間は水盤から奏でる水音と同サイズで外部に開け放たれたボイドからは、光や雨が降り注がれ「屋内」と「屋外」が意図的に曖昧な関係が創り出されている。
エントランスホールから地下1階のメインホール(リビング・ダイニングキッチン)へは壁から突き出た打放しコンクリート仕上げのシンプルな階段で下っていく。そしてもうひとつの水盤のあるコートを囲み、サニタリースペース、MBR、ゲストルーム等が配置された。
様々なレベルの床と天井が共存する複雑な空間、構造はこの土地の傾斜地を活かし、視点の変化が奏でる空間が生活にリズムを創るであろう。そして平面的な手段だけでは表現できない豊かな空間構成は、現代の都市型住宅にも対応できる解法であったと考えている。