+house
敷地は沖縄南部の空港から程近い距離に位置した住宅街で、クライアントが生まれ育ったご実家を増築し、二世帯住宅にリノベーションする計画です。
当初は既存建築物の2階部分に増築するという事で計画を進めていたが、構造の検討を進めると、2階部分に増築する事はたとえ軽量の構造を採用しようとも、不可能である事がわかった。
一度はお断りしたが、どうにかこの場所に建てる方法はないかという事で、もともと敷地の一部を貸し駐車場にしていた事もあり、その部分に並列して増築をする事で計画が再スタートした。
クライアントの要望はリビングから東側の開けた景色が見える事であった。
そのためには、敷地東側の既存建築を超えた位置(2.5階レベル)にリビングを配置する必要があった。
そのため、1階部分は駐車場、玄関のみとし、そこからスキップフロアで、サニタリースペース、LDK、寝室スペースとして配置した。
スキップフロアの採用は条件、要望に対して、でるだけ素直に自然なかたちで応えるように配慮した結果である。
各スペースは空間ボリュームにメリハリをつける事や、明るさのグラデーションをつける事で、均質になる事なくそれぞれの空間の質に変化を与える事を意識した。
光の量、壁色を抑えた玄関、階段室から、天井を高めに設定し、東側の開けた景色へと向かう勾配天井のLDKへとつながっていく。
また、開口部には光の量を調整ができる木製建具を設置し、色彩計画は壁色を内外共に同色の2トーンにする事や、床、家具、建具を木製の同色に仕上げる事で、変化はあるが全体としてまとまりのある空間になったと考えている。
生まれ育ったこの場所で、これから家族との生活が新たな思い出として重なっていくだろう。
クライアントの強い希望とともに、検査機関との多くの調整など、粘りづよく計画を進めていった結果としてこの住宅を実現する事ができた事をうれしく思う。
■構造計画
既存建物はラーメン構造であったが、新たに増築する建物とスラブで接合し、地震力を増築部分にもたせる事で、一体の壁式構造として計算を行っている。