沖縄本島
2015
エスの家/小さな住空間と小さな庭
敷地はうるま市内にあり、数十年前から区画整理が行われている場所である。既に殆どの土地には住宅が建ち並んでいる。今回はその中に取り残されたように佇む、狭小狭隘の敷地に60代夫妻の終の住処を建てる計画。
建物は30坪弱の南北方向に細長い敷地に、道路側に2台収容可能な駐車スペースを配し、また敷地の奥行方向(南側)に建物を後退させた事で、前面道路沿いの住宅群と同様に道路境界と建物間に空地が確保された。
建物自体は矩形のヴォリュームの2階建て。1階にダイニングルーム、キッチンにサニタリースペース、2階には主寝室、クローク、トイレのプラン構成となっている。そして1、2階の居住空間を挟み込むように、北側の土間ホール(エントランスホール)と南側の小さな庭が配された。土間ホールと小さな庭は吹抜けになっており、それぞれが縦へと伸びながら1、2階を緩やかに繋ぐ。3坪程の両機能(土間ホールと小さな庭)に差し込む陽光を介して、時の経過、季節の移ろいが感じられる場になることであろう。
今回の計画は、狭小狭隘の敷地にシンプルなコンクリート住宅とすること、究極なローコスト(建築総工費1700万弱)の実現であった。比較的要素の少ない小さな住宅にちょっとだけ広い土間ホール、吹き抜け空間といった余白のようなものが、この住宅に潤いを与えてくれるであろうと考えている。