
「まちと人々を繋げる支店銀行」 地域と繋がるファクター(要素)としての建築
敷地は、再開発が進む区画整理地内にあって、ゆるやかな高低差がある。交通量の多い県道沿いに立地し、朝夕の通学時間には目の前にあるバス停留所が学生達で賑わいを増す。近隣には、団地や住宅街、高校などがあり、まちの喧噪と閑静な住宅地の狭間にある。
今後再開発が進んで、この地域は変容していく事が予想され、そのような周辺環境に配慮した計画とした。
3つの設計コンセプト
1.condition:「敷地」や「周辺環境」に配慮した建築
歩道からの視線や車の往来が激しい道路に配慮して、緩衝空間を設けて周辺環境と繋げる。プライバシーを確保しながらも、閉じることがないように緩衝空間が距離間を保つ。
南北に細長い敷地は、高低差が1.5m程あり、その傾斜に沿って高さの異なる広場を設け、緩やかなスロープで繋げることで敷地に呼応する建築となる。
建物で地域を分断しないように、地域に開かれた場所をつくり出すと同時に周辺の集客も見込んで、利用者が長時間くつろげるように、明るく開放的なロビーを目指して吹抜けを取り、ハイサイドから光を多く取り入れ、坪庭をロビー内に入れ込む計画とした。誰もが気軽に立ち寄り、楽しめるようなまちの「リビング」としての銀行を目指した。
2.connect:地域をつなげる「広場」
道路と建物の間に設けられた緩衝空間は広場として利用する。敷地の高低差を利用した高さの異なる場となり、また、分散して配置することで広場に様々な要素や変化を与えて表情を生み出す。広場は、銀行と地域を繋げるファクター(要素)としての役割を担い、様々な用途に利用可能で、地域の人々が自然と集える場所を作り出している。
3.hommage:「記憶の再生」と「地域へのオマージュ(敬意・尊敬)」
安慶名地区は、大小多くの店舗が立ち並び、商店街として賑わいを持ったまちであった。昭和55年頃を迎えると近隣の都市化や大型店の出店など安慶名地区の市場はゴーストタウン化し、商店街として成り立たなくなってしまい、平成15年から、安慶名地区再開発事業が開始され現在のような新しい街並がつくられていった。
そのような歴史を踏まえ、地域に根付き、愛される銀行として、人々が気軽に集う事のできる「場」を提供し、地域の中で共に発展する事のできる銀行を目指す。
外壁にはルーバーを設けて、時間や天気によって刻々と表情を変化させるファサードとした
2017年 グッドデザイン賞 |