県外
2018
与論の家
与論島は、沖縄本島最北端の辺戸岬から南方約22kmに位置する鹿児島県奄美群島の美しい珊瑚礁の島である。地理的にも琉球(沖縄)と近い為、自然環境(台風や白蟻被害)は沖縄とほぼ違いは無いように思えるが建築事情は大きく異なり、一般的な個人住宅は木造で占められている。
クライアントは、特に近年深刻化する大型台風にも耐えうる鉄筋コンクリート造を望まれ、 県外にも関わらず我々に設計をオファーされた。
建物は島の中心地に位置し、道路を挟み向かいには町立図書館が立地する、割と人通りの多い場所である。その為、玄関までのアプローチは、杉板模様のコンクリート打放し壁で道路側からの視線を遮りながら導かれ、玄関/エントランスホールへと辿り着く。
平屋の建物は、中庭を囲むようにリビング/ダイニングを核に据え、北側には8畳程をふた部屋に仕切れるようコンパクトに子供部屋が配されている。主寝室/ダイニング/キッチン/水回り等は奥様の意向に添って家事動線を効率的に行えるよう東側に集中させ、玄関横には開放的な和室が配された。
住宅はプライバシー、防風雨などを重要視した結果、防御的で且つ外に対して壁面の多い建物となったが、白壁と杉板模様打放し壁のコントラストが外観に柔軟さを与えている。更に内向的なプラン構成は家族を包み込んでくれるような空間となり、シンプルで温かみのある快適な住まいになったと考えている。