みんなのわで創る園舎
沖縄県は全国で唯一、出生率が増加傾向にある県である。 しかし、受け入れ体制はまだ十分とは言えず、待機児童数は増加傾向にある。この待機児童の数は、設計時の2018年には前年比で減少傾向となったが、申込者数が増加傾向であったため、打ち消し合う状態にあった。 建物を計画した地域であるうるま市では待機児童数が県内で
3番目に多く早急に解決する必要があった。そのため今回の保育園は平安座島のふくよか保育園の第2園として計画がスタートした。
敷地は南東側にのみ接道しその周囲を建物や空地が取り囲む形となっていた。また沖縄は車での移動が中心であり敷地の1/3を駐車場が占めることとなり、これらの条件から周囲には閉じ、全面道路と内部に対して曖昧に開くこととした結果、子供の生活の中心となる園庭を中心
に配し、その周りを必要なヴォリュームが取り囲む形となった。必要な園庭を確保するために建物本体を圧縮し、1階の園庭と立体的に繋がるよう2階部分に不定形なデッキテラスを設けたことで野山を駆け登るような散策性と時間の経過により流動的に変化する木漏れ日のような
有機的な影を落とす温かみのある園舎となった。
またRC造は、一般的に硬い印象を受ける人が多いため内装と園庭に面する開口部の建具等に木を多用し、硬さを和らげることとした。
今回我々は、”みんなの「わ」で創る園舎”をコンセプトに掲げ地域と密接に関わる事のできる計画とした。一つ目のわは、『一体感のある庭を中心に多様な居場所が取り囲むことで他にはないオンリーワンの園舎となる』。二つ目は、『二階のぐるぐるでっきであり、かたちの異
なる”にわ”』 が存在することで多様な使い方をできる余地を残したものとした。三つ目は、地域の一部を示すわとして、『周辺地域を結ぶ中心となり保育園の可能性を拡げ地域社会に寄与し、町との強い繋がりを築けるよう計画した』。