沖縄国際大学学生会館
“経緯と環境“
当大学は1972年に開学、2022年で創立50周年を迎える。今回のプロジェクトは大学環境の整備に伴う一環として、学生の福利厚生の充実を図る拠点として学生会館を建設する事となった。
我々は立地予定の一角を取り巻く状況を理解することから始めた。三階以上の建物が建ち並ぶ中、構内でも唯一樹木が生い茂る場所である敷地において、出来る限り、その緑を残しながら建物全体にガラスを纏わせ、「ウチ」「ソト」の境界を曖昧にする。更に建物の外周をデッキで繋げ、ウチとソトで「緑に囲まれながら飲食を楽しむ」アクティビティに富んだ施設を目指した。
”ゆるやかな建築“
今回のプロジェクトで特に重要と考えた事は、建物のフォルムとプロポーションである。元来、学ぶ事と規律を重視する事が学校教育の一環としてあり、校舎建築もそれに習い威厳的で緊張感のある建物が推奨されて来た。これまでの学校建築で見られてきた威厳的で直線的な建物のフォルムでは無く、緩やかに風が流れるような曲線的な柔らかな線を描くルーフ/庇を強調させ、威厳さや緊張感では無く「ゆるさを見せる建築」を追求した。
沖縄はよく「緩さの文化」或いは「優しさの文化」と言われる。城跡をみても県外の直線的で威厳的な城郭では無く、曲線を描き緊張感の中にゆるさを見せる城郭が殆どであり、それこそがウチナーの人達がゆるさを大切にしてきたアイデンティティであり文化であると考える。ドイツの建築家で知られるシュペーアは「国民や文化から建築は生まれてくるものである」と言った。風が流れるようなフォルムで沖縄の人達の心の奥底にある「ゆるさや優しさ」の文化を建物で表現したいと考えた。
「ゆるさや優しさの文化」の精神性に着想を得、ゆるやかにうねるルーフ/庇と直線的なスキン/外壁でプロポーションが決定され、それに基づくプラン構成で様々な機能が結び合わせられた学生会館が出来たと考えている。
連続する居場所
存在感と軽快さを持ち合わせるよう平面は周囲の緑に添うような形態で、細長く湾曲した意匠計画とした。外壁部はガラスの映り込みによる緑の増幅、道路側には街中との連続を生む事で周囲との協調性と連続性をつくり出し、「今=状態」という時間の中で学生が新たな居場所でコミュニティーを生む事のできる施設を目指した。
連続した居場所は途切れなく内部空間までも続いていて、サイズをお
JCD OKINAWA 空間デザイン賞2021 銀賞 |