ぽかぽか保育園 / みんなの「オウチ」
建物は県内中部の読谷村にある老人介護施設に勤めるスタッフの子供達のために計画した企業主導型保育園である。他市町村と同様、計画地である読谷村においても待機児童問題は深刻であり、スタッフの子供たちの受け入れ先として計画に取り掛かった。
スタッフの子育て応援という観点だけでなく、子供たちと老人介護施設に入所している
お年寄りが交流を生むような建築計画とすることで、子供たちには思いやりを育み成長する喜びを、お年寄りには生きる活力を受け取ることのできる場所を目指した。お年寄りや入園する子供たち「みんな」に寄り添うことをコンセプトに、使う人達にとって「オウチ」のように感じられる保育園を目指して設計を進めた。
平面計画では、廊下を間に挟み0~4歳児室と多目的ホールを両側に配し利用しやすい計画とした。事務室を施設中央に配置し、2階に設けた学童スペースも吹抜を介して見えることで可能な限り死角を減らし、施設全体の視認性および管理のしやすさに配慮した空間構成とした。外観には琉球石灰岩の質感を取り入れることで、日常の光景の延長にある施設として演出を図った。内部空間は、木材仕上げを随所に取り入れ、照明計画も暖色系を採用することで温もりのある空間とした。1階の多目的ホールにある吹抜は上下階の繋がりをもたらすだけでなく、2階に設けたぐるぐる廊下の窓から温かい空気を排出することで中間期の空調負荷を抑制し省エネルギーに貢献する断面計画となっている。建物のコーナーはアール状とすることで、子供たちの安全面に配慮するとともに輪郭が柔らかい印象を持つ親しみやすい雰囲気のある保育園となった。敷地の東側にあるデッキテラスと芝スペースは、園庭としての機能だけではなく隣の老人介護施設と共同でイベントを行い、交流促進の場となるよう計画をした。
今回計画した企業主導型保育園と老人介護施設とのつながりが地域へと広がり「みんな」が寄り集まって大きな輪となっていくことを願っている。