まこといしかわ保育園
建物はうるま市石川東恩納の傾斜地に建つ。眼下に広がる海が遥か水平線まで続き、更にはやんばるまで続く山々の稜線も見渡せ、背後を森に囲まれ沖縄の自然を余すことなく体験できる場所となっている。
設計にあたり、金武湾のある東側からは海風を建物前面には自然光を遮る建物が無いため自然のエレメントを直接肌で感じるとることのできる場所であると考えた。結果、雄大な自然環境を活かし、子どもたちの体験に還元するべく、内部と半屋外空間を織り交ぜるような平面計画とし山々の稜線と水平線まで続く海に並行する 2 つのヴォリュームを設け、それぞれの自然的な要素に意識が向くよう配置計画を行った。
園側の要望を取り入れ1階には管理部門と 0〜1 歳児室を設け、自然光が直接当たらないよう山手側に大開口を設ける事とした。2階は沖縄の伝統的な建築言語である「アマハジ空間」の半屋外廊下を起点に2~5歳児室、調理室、園児が集まって食事や催し物などができる広々とした多目的ホールを配置した。奥行き 4mある庇を設けた「アマハジ空間」を介して外部と内部がグラデーションを伴うように周辺環境へと接続されることで、天気の良い日には、アマハジ空間で運動や景色を見ながら昼食を取ることができ、雨の日には、庇が雨を遮りつつも肌に纏わりつく湿気を感じ取り、視覚・触覚を通して周辺環境を学ぶ仕掛けとなる。
建物には「質感」のある仕上げを採用。凹凸のある外壁や、木の温もり・香りを感じ取れる床仕上げ、コンクリートの粗々しさを残した壁、屋上には人工芝を敷き詰め素足を通して触感を刺激する仕掛けなど子どもが触れて体験して成⾧の糧となれる素材を随所に配置をしている。
園の保育方針でもある「心身ともに健やかな育成を図り、人としての基礎を作る」という理念のもと子どもたちが主体性を持ち、立派なひとりの人間として成⾧し「まこと」の笑顔が溢れる人となれるよう、ひとつの一助としてこの施設が貢献できたらと願っている。